-HARUKA TOMONAGA NON-OFFICIAL FAN CLUB- |
「二度と逃がしたりするものか」
アルといる世界
「シスター、めしー」
ついでに大事な用事も頼みにも来たのだ……
「わーい、何かここで食べるのが、さも当然のように振舞われているよー
ピキッ……
そんな効果音を立てて、場の空気が凍りついた気がした。
いつもおっとり落ち着いたライカさんが顔を赤くしながらガタガタと震えている。
「…………」
「俺の?俺の何?九郎ちゃん」
下手に嘘を吐くと、アルがブチ切れてどうなることか……
「お、俺の一番大事な……………………大事な……… 女だ!!
「………九郎」
……その横でアルよりも顔を赤くしているライカさん。
俯いていたはずのアルがニヤリと呟く。 「ロリコン」 「お前が言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ライカさんを何とか納得させ、アルが子供達と遊んでいるのを確認して、俺は本題を切り出した。
ライカさんのところを出て、俺達は覇道邸に来た。
「それで大十字さん?」
「………………」
「困りましたわ……もしかしてわたくし、馬鹿にされているのかしら?」
「いや……大真面目です。こいつこれでも魔導書ですから」
「………………」
「フンッ」
「いい加減にしろって、アル……ほら、姫さんも落ち着いて?」
たじろぎながらも、俺は何とか口を開いた。
「俺も今回は事情があるから報酬を貰らいたいんですけど……」
「内緒話は、ずるいぞ九郎!」
ビルを踏み倒して暴れる、破壊ロボの前でアルが呟く。
「出ぇぇぇたであるなぁぁぁ!大十字九郎っっっっっ!!
「妾は九郎の伴侶だ!」
「………………」
「は、は、は、は、伴侶ぉぉぉぉ!?伴侶だとぉぉぉぉぉ!!!
「ダーリンの浮気者!酷いロボ!見損なったロボ!エルザを騙したロボね!?」
「また、内緒話か!?九郎〜!!」 帰り道
「なぁ……おい、アル?」
「ヨグ・ソトースの輪から外れた今の世界でなら、エンネアもどこかで元気に笑っているのかなぁ?」
「………………」
「案外、此処に居たりして……な?」
そこで俺達は出会った……
「マスターテリオン!?」
とんでもない奴等に出会っちまった。
「何でお前等がこんなところに!?」
「デートだ」
「……………」
ふと、天井を見上げマスターテリオンが重々しい口調で語りだす。
「気が付くと、マスターと私はこの場所、アーカムシティに戻って来ていた……」
「だー!理由になってねぇ!アル!マギウスになるぞ!…………アル?」
「安心しろ、大十字九郎。貴公等に危害を加える気はない」
「……信用していいのか?」
「どうするよ?アル」 「……………」
「おいっ!アル、さっきから何黙ってんだよ!」
「どうしたんだ?」
「フフフッ」
俺はアルの怯える原因は何かと、ナコト写本に目を向けた。 ナコト写本…… アルと同じナイ乳ボディ 黒が引き立つ白い肌…… スラリと細い腕 視線を促すような左手の薬指…… 光る指輪……!
「……!?そ、その指輪は……!」
「お客様、他のお客様もいらっしゃりますので、もう少し静かにお願いします」
「席を外した方が良さそうだな?大十字九郎」
「で、その指輪って……やっぱり?」
「………………」
「!」
マスターテリオンが顔を見上げたナコト写本の背に腕を回し唇を這わせる。
「な、な、な、汝等、何を!?」
「……!ふ……ん…っ……ぁ」
「ん……は……んん……ん……く……」
「九郎、不埒な事など考えてはおらぬだろうな?」
「ああっ!マ……マス……ッ!はぁぁぁ……ます、たぁ……はぁぅぅ!」
帰り道、肩を落として歩くアルの姿は、何処か儚げで今にも消えてしまいそうな、不安が心を過ぎる。
「唐突に……汝は何を……妾は別に……あのような形式にこだわる気など……」
「結婚式なんて『形』みたいなもんかもしれねぇ……でもな?」
「しかし、妾は魔導書、只の『本』……人ではないのだぞ?」
「それに、妾の見た目は……っ!」
「……嫌か?」
「……汝はナコト写本等のことで妾に気を使っておるのではないのか?それでそんなこと……」
「お前の気持ちを訊かせてくれ?」
「アル……?」
「妾だって、九郎と結婚したいに決まっておる!だが、こればっかりは簡単なことではないのだぞ!
「それに、万年赤貧生活の汝にとって、け、結婚式などというビッグイベントを行える訳があるまいて!」
「あの女のところで働く気か!九郎!?」
「そういう問題では無い!!! (事も無いが……) 」
「というより、いつの間にそんな話が……
「…………」
「……九郎」
「九郎―――――――ッ!」
「結婚してくれるか?」
事務所に帰り、寝る準備をしていたアルが突然顔を上げ……
「…………………………父親役」
「いや、ヴァージンロードを歩くときに連れ添って歩いてくれる奴が必要だろ?
「よりにもよって何故、あのたわけなのだ……?」
アルの身体がぶるぶると震えるえている。
「大うつけがぁぁぁぁぁ!!!」
「ぐぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁ!」
結局、父親役はウィンフィールドさんに頼むことで渋々アルは納得した。
シュゴスベットの上で、俺とアルは肩を寄せ合い、夜空を見上げている。
「九郎……?」
「ん?何を慌てておるのだ?」
「……汝は妾と結婚することに迷いは無いのか?」
「だが、妾は……」
俺は震えるアルの腰に手を回し縋り抱く。
「…………」
「…………ロリコン」
俺は頬を赤らめ、微笑むアルに唇を重ねる。
この世界で誰よりも大切だから……
お前じゃないと駄目なんだ……
共に笑い、共に泣き、共に歩んで行こう……
FIN…… |